■コレステロールが高いと何がダメなのか?
こんにちは。
健康管理士の岡野です。
健康相談を受けていると、
体重の次に多いのが
コレステロールの相談です。
コレステロールが高いので
どうにかしたい!
というご相談は多いです。
コレステロールの数値が
基準値を超えた状態が続くと、
警告されたという方もいます。
病院で注意されると不安に
なってしまいますよね。
コレステロールについては、
数値にもよるのですが、
数値が高いとダメという先生と
高い方が長生きできるなど、
医師の中でも意見が異なります。
LDLコレステロールが高いと、
動脈硬化となり、とにかく怖いと
感じているお客様もおられました。
一般的にLDLコレステロールは、
動脈硬化の原因とされており、
良いイメージはあまりありません。
動脈硬化は、普段から広場で
お伝えしているように
血管が硬くなり、詰まると
心筋梗塞や脳卒中、脳梗塞など
命に関わります。
そのため、コレステロールは、
高いと下げるものと思われがちですが、
実際は、どうなのでしょうか。
この辺りを解説していきます。
■コレステロールは、下げるもの?
コレステロールって、
人の体にとって、どんな
役割があるご存知ですか?
もともと身体の中には、
4種類の脂質があります。
・中性脂肪
・コレステロール
・リン脂質
・遊離脂肪酸
です。
この中でもコレステロールは、
細胞膜や身体の働きを調整する
ホルモン、脂肪の消化吸収を
助ける胆汁酸の材料となったり、
人の生命維持に必要なものです。
生命維持に必要だとしても
コレステロールが高いと
数値を下げないといけないと
感じている人が多いと思います。
そこで、このデータをご覧ください。
いかがでしょうか?
総コレステロールの高い人、
やや高い人、やや低い人、
低い人の4パターンで
生存率を比較したデータだと、
総コレステロールの低い人の方が
生存率が圧倒的に低いです。
あれっ?と思いませんか。
低い人以外は、あまり生存率に
大きな差はありませんよね。
まずは、コレステロールは、
低すぎる方が長生きできないと
覚えておいてください。
医師でも意見が分かれている
理由なども含め、解説しますね。
■コレステロールは、犯人ではない?
先程は、コレステロールでも
総コレステロールのお話でした。
次は、コレステロールの中でも
LDL(悪玉)コレステロールについて
解説します。
そもそもLDLって、悪玉
という意味ではありません。
LDL
(Low Density Lipoprotein:低比重リポタンパク質)
となります。
動脈硬化の人を調べると
コレステロールが高く、
LDL(悪玉)コレステロールが
高いほど心臓病による
死亡率が高まるデータがあり、
悪玉と犯人扱いされてきました。
悪玉と名前についていると、
悪さをするような気がしますね。
しかし、最近の研究結果では、
動脈硬化を起こしている血管に
LDLコレステロールが増えるのは、
血管に悪さをするためではなく、
破れた細胞を修復しているため
だと判明しているのです。
ちょっと整理します。
①動脈硬化を起こした血管
↓
②修復の為にLDLが増える
ということは、すでにLDLが
修復に集まってきた時点で血管は、
傷ついて動脈硬化が起きています。
もともと血管が傷つくのは、
糖質を含む食事の摂取により、
食後の血糖値が上昇することで
活性酸素が発生し、血管内皮を
傷つける事が動脈硬化の原因です。
LDLコレステロールが傷ついた
血管に入り込み、修復するのですが、
セメント職人のように血管の傷を
平らに修復するわけではないので、
こぶのような凹凸ができます。
これが「血管のプラーク」と呼ばれ、
血管を狭くしたり、血栓ができ、
血流が詰まりやすくなるわけです。
ですので、血管が老化したり、
動脈硬化を起こす最初のきっかけは、
高血糖による血管内皮の損傷であり、
糖化が動脈硬化の真の原因なのです。
血管の修復という役割があるなら、
コレステロールが少なすぎても
ダメだということが分かりますか?
それを示すデータがあります。
LDLコレステロールが低いほど、
脳卒中の死亡率が高まる
というデータがあるのです。
LDL(悪玉)コレステロールは、
高くてもダメなのですが、
数値が低くなりすぎても
細胞膜が壊れやすくなり、
脳卒中(脳の血管が破ける)で
亡くなる人の割合が一番
高くなっていたのです。
これは、アメリカで約96,000人を
9年追跡した結果でLDL(悪玉)が
70以下になると脳出血のリスクが
高まることが分かっています。
日本人のデータでも死因の
第4位は、脳血管疾患です。
※2018年、2019年
LDL(悪玉)コレステロールを
下げなければいけないものと
感じていた人は、数値が
下がり過ぎていないか(80未満)も
チェックしてみてくださいね。
■日本のLDL(悪玉)コレステロールの基準値は厳しすぎる?
心筋梗塞の方のLDLを調べると、
160を超えると死亡率が上昇します。
このデータから考えると、
LDLコレステロールの基準値は、
160未満でも良いと思われます。
しかし、なぜか日本の場合、
基準値は、120mg/dL未満です。
経験上、相談される方には、
130~140前後の方が多い印象です。
もともとコレステロールは、
細胞膜の構成成分で脳の神経細胞、
ステロイドホルモンの原料や
消化を助ける胆汁という消化液の
成分となり、大切な物質です。
LDLコレステロールが
少なすぎると脳卒中や脳出血
の他にも、免疫力が低下する
などの問題もあります。
個人的には、80~160前後の
基準値でも良いかと思います。
■一律の基準値で良いのか?
コレステロールの基準は、
年齢などは考慮されずに
一定の幅で決められています。
HDL(善玉)コレステロールは、
年齢による変化は、小さいので
それでも良いかと思います。
しかし、
LDL(悪玉)コレステロールは、
年齢や男女で数値が異なります。
男性の場合、20代に比べて、
50代では、30%前後、増えます。
女性は、40歳までで10%、
更年期で20代より40%増えます。
年齢を重ねると体内の炎症とか
血管の損傷が起きることからも
LDLコレステロールが老化に
応じた修復のために増えるのも
納得できます。
こういうデータがあるにも
関わらず、健康診断の基準値は、
60~119と一律で定められています。
これは、お客様からいただいた
人間ドッグの結果です。
10年前のA判定と比べると、
10年後は、D判定となっています。
20代でLDLが100だった女性が
50代で140mg/dLになるのは
先程の流れから考えると、
このお客様からの年齢でみると
+40%は、自然な推移となります。
しかし、年齢も性別も
考慮しない一律の基準だと、
多くの方が年齢的に問題なくても
基準値より高い
という判定になってしまいます。
本来、年齢や性別で捉えると、
健康な方までが基準値超えと
診断されて、お薬を飲むことは、
本当に必要なのでしょうか?
■犯人は、超悪玉コレステロール!
LDLコレステロールが多いと、
心筋梗塞などのリスクが
高まるというのは事実です。
日本人の死因で2番目に
多いのが心疾患なので
注意が必要だと分かります。
※2016~2019年:第2位
しかし、血管に入り込める
LDLコレステロールにも
種類があるのをご存知ですか?
通常のLDLコレステロールの
大きさだと、血管壁に侵入できず、
動脈硬化のリスクは低いんです。
道路の穴に大きな岩では、
入らないような感じです。
砂のようなコレステロールが
小さく侵入し、プラークとなり、
動脈硬化の原因となるのです。
これを
・超悪玉コレステロール
・スモールデンスLDL(sd LDL)
・小型LDLコレステロール
など呼びます。
つまりLDLコレステロールが
高いだけでは、心筋梗塞などの
リスクが高いとは判断できず、
LDLの中に超悪玉コレステロールが
どのくらいあるかが問題なのです。
■超悪玉コレステロールを検査するには?
LDLコレステロールが高くても
体内の超悪玉コレステロールが
少なければ、それほど心配する
必要はないということです。
ということは、この超悪玉を
確認できればいいですよね。
ちなみに愛知県には
超悪玉コレステロールを
検査できる医療機関は、
3か所しかありません。
動脈硬化の原因が特定できる
検査なのでもうちょっと普及して
欲しいですね。
動脈硬化ドックという感じで
検査費用は、オプションだと
健康診断や人間ドッグに+3,000円~
単独での検査で1万円くらいします。
ちょっと値段も高いので
動脈硬化が起きているかを
確認するには、超悪玉でなくても
ABI検査でも良いかなと思います。
動脈硬化が起きていなければ、
超悪玉は少ないと予想されるため。
2,500円で岡野が検査した
ABI検査の記事は、コチラ↓
この検査も近くにない場合は、
健康診断の結果から、ある程度は、
予想することもできます。
実は、中性脂肪が高くて、
HDLコレステロールが低いと、
超悪玉コレステロールが
増えることが分かっています。
具体的には、
HDL:60mg/dL以上
中性脂肪:60mg/dL以下
であれば、LDLが高くても
超悪玉コレステロールは少ないと
一般的にされています。
そのため、糖質の摂取が多く、
食後に血糖値スパイクが起き、
中性脂肪や血圧が高い人、
内臓脂肪型肥満の人は要注意です。
岡野のLDLコレステロールは、
128と基準値より高いですが、
中性脂肪は、60以下であり、
動脈硬化の検査も問題ないので
現時点では、特に気にしていません。
LDL(悪玉)を下げるというよりは、
HDL(善玉)を上げることを意識し、
心がけています。
その理由は、この後、お伝えします。
みなさんも一度、HDLや中性脂肪を
確認して超悪玉コレステロールが
多くないかチェックしてみてください。
■LDL(悪玉)よりもHDL(善玉)が大事!
多くの方がLDL(悪玉)を
気にしていますが、実は、
HDL(善玉)コレステロールの
数値の方が重要なんです。
メタボリックシンドロームの
診断基準をご存知ですか?
この中には、
・低HDLコレステロール血症
として40mg/dL以下になると
メタボ基準に抵触します。
しかし、メタボ基準の中に
LDLコレステロールの項目は
ありません。
つまり、LDLコレステロールの
数値よりもHDLコレステロールが
低い方が問題なのです。
HDLコレステロールが低いと
心臓の血管が詰まる冠動脈疾患の
死亡リスクが増加します。
LDL(悪玉)コレステロールが
高いと下げたい方は多いですが、
HDL(善玉)コレステロールを
上げたいと思っている人は
意外と少ないです。
HDL(善玉)コレステロールを
上げたいというご相談は、
過去に1件もなかった記憶です。
HDL(善玉)コレステロールを
上げるのは、運動です。
そして、私がオススメするのは、
インターバル速歩(早歩き)です。
結構、頑張ってもなかなか
上昇しないのがHDLですが、
HDLも80mg/dLを超えると
心血管死亡リスクが高まるので
HDLコレステロールは、
60以上、80未満を目安としましょう。
いかがでしたしょうか?
LDL(悪玉)コレステロールが
高くて不安になっていた方も
少し安心できたかと思います。
LDL(悪玉)コレステロールの
数値が高くても本当に下げる
必要があるのか薬の必要があるか、
充分に検討してみてくださいね。
薬に頼らずにLDLを下げたい
という方は、こちらの記事を
ご覧ください。
本日も最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
参考になった!知らなかったなど、
コメントをいただけると嬉しいです。
取り扱って欲しいテーマなど
ございましたら、コメントください。
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